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2. Favorite

『LEAN INTO IT』 MR.BIG

タラスのビリー・シーン、レーサーXのポール・ギルバートが結成したスーパーバンド、なんて大いに騒がれた、ミスター・ビッグ。デビューアルバムの1曲目「Addicted To That Rush」で日本のロックキッズをK.O.してくれました。そんな彼らのセカンド・アルバムがこれ。電気ドリルにピックをつけてのユニゾンがある意味滑稽だった1曲目は例外ですが、決して派手にテクニックを披露するわけでもなく、その辺りを期待した向きには少々物足りなかったかも。 ただ、楽曲としてはかなり良い出来なのではないか、と思うわけです。アメリカン・ハードロックの王道ともいえる音作りは、アメリカのチャートで育った私にはゾーンど真ん中でした。 コピーすればわかるのですがテクニックは披露していないだけで、やっていることは私には真似できません(笑)。

『KATY LIED』 Steely Dan

学生時代に潜り込んだPA(コンサートなどの音響さんですね)のアルバイトの現場にて耳にする音、スピーカーのサウンドチェックでのホワイトノイズと『ナイトフライ』、そう、ドナルド・フェイゲンの傑作アルバムです。そのドナルド・フェイゲンがメンバーのバンド(ユニット?)がスティーリー・ダン。 ミュージシャンおたくになってから、幾度と無くその名を耳にしながらも、数曲しかちゃんと聴いたことがなかったのですが(しかも「Do It Again」だったり)、ボックスセットが発売になると聞き、早速購入。 全曲聴いてみて気に入ったのが、このアルバムと『ROYAL SCAM』の時期。 『AJA』は当然「みんなの」お気に入りで、私も例外ではないのですが、サウンドの雰囲気というかなんというか、妙にハマってしまいました。 単独でアルバムを持っているのは『AJA』とこのアルバムだけです。

「幼少の頃から聞いてきた、数々のヒット曲・流行歌たち」

「ザ・ベストテン」を見て育ったせいか、演歌からニューミュージック(と呼ばれるもの)、アイドルやロックバンド、和製R&Bシンガーからフォークまで、様々なジャンルの音楽をすべて同じ目線で聞いてきました。 そのスタンスは現在も変わりません。

「三つ子の魂 百まで」とはよく言ったものです。浜崎あゆみも、ケツメイシも、モーニング娘。も、ジャンルは一つ、「歌謡曲(=J-POP)」です。海外で流行っているスタイルを取り入れたところで、そのメロディやラップに日本語が乗ればすべて「歌謡曲」という認識なので、iPod miniのジャンル分けも日本の曲はすべてJ-POPです。

それぞれのエキスパートが存在するのは当然のことですが、それが1ジャンルとして独立するものとは思いません。最近の「なんでもジャンル分け」の風潮には、少し否定的な私です。これからもいろんな名曲が生まれるものだと信じていますが、それらはやはり、紛れも無く「歌謡曲」として私は記憶していくことでしょう。

『SMAP 006 SEXY SIX』 SMAP

いきなりアイドル登場ですが(爆)、ミュージシャンおたくとして非常に興味深い快作です。テレビをつければ、見ないことはほとんどない状態の人気となったSMAPの、音楽的転機となったであろうアルバムがこの作品。

作家陣はそれまで同様、森 浩美氏、岩田 雅之氏の2人が主に担当し、アレンジにCHOKKAKU氏が参加するなど、さほど変わりはなかったのです。 違うのは、参加ミュージシャンの面々。海外の名手が数多く参加している点に注目です。もちろん、それまでもあったのでしょうが、このアルバムでは大フィーチャー状態です。 2曲目・11曲目のマイケル・ブレッカー(ts)、4曲目のフィル・ウッズ(as)のソロは圧巻、というか「日本のアイドルのアルバムでそこまで・・・」というほど頑張ってます。演っている本人たちは詳しいことは知らされませんから、そんな心配は無用でしょうけど。後になって『SMAPPIES』なるSMAPの曲のインスト集が2枚も発売されたきっかけは、間違いなくこのアルバムです。 もちろん、2枚とも持ってます(笑)。でも、1枚でよかったなぁ・・・。

『MY DEAR』 平松愛理

はい、誰ですかなんて言っている方、覚えてますか。「部屋とYシャツと私」のあの人ですよ。 1989年にアルバム『TREASURE』でデビューした彼女の3作目にあたるアルバムがこの作品。 例の曲のオリジナルは、このアルバムに収められています。シングルになったのは2年後、私は「今さらなんで」と思ったものです。歌詞の内容が話題になったのを受けてのリカットだったわけですが、そのくらい本人も上り調子だったんですね。 この作品まではセルフプロデュースですが、アレンジで清水信之氏が参加しています。ご存知のかたはご存知ですが、後に彼女の夫君となる方ですね。神戸に住んでいた当時、ラジオ番組をやっていた彼女がデビューした直後のアーティストということを知って、先に紹介した『TREASURE』ともう1枚を購入。『TREASURE』に収録されたある1曲に感動しまして、それ以来応援しているわけです。この『MY DEAR』はそんな彼女の初期作品の中でも、トータルで個人的に評価の高いアルバムです。惜しむらくは、その音質。マスタリングでの狙いもあると思うのですが、 1枚膜をはったようなリバーブが全体を覆っていて、音のディテールがはっきりしないのが残念です。できれば、印象がガラッと変わってもいいので、リマスタリングしてほしいです。もちろん、アーティスト本人が了承するのであれば、です。

『ENCOUNTER』 Sing Like Talking

1988年デビュー、以来「Musician’s Musician」的存在として知られるユニットです が、それもそのはず、各個人いろんなアーティストとの活動で知る人ぞ知る方々ですから。そんな彼らが、1993年にリリースしたこの作品が、私の一番のお気に入りです。 大多数のSLTファンと同様、アルバム『0(LOVE)』の頃からよく聴いていました。 『ENCOUNTER』の少し前にリリースされていたベストアルバム『REUNION』の2枚が、1993年の個人的へヴィーローテーション、私にとっては就職活動のお供として大活躍しました。SONY Walkman(もちろんカセット)に、この2枚を120分テープに片面ずつ録音して、バッグの中に入れて、訪問先から家や大学に帰る道すがらずっと聴いていたのです。 サウンド的には、前2作『0(LOVE)』、『HUMANITY』から続いていたAOR的手法の集大成。メンバーとしても完成形だったのかもしれません。次の『Togetherness』以降ブラコン的要素が強くなりましたが、それが薄れてからはある意味混沌と した、焦点がボケたような印象を受けます。 竹善さんのソロ活動が目立つ昨今ですが、次のアルバム、期待しています。

『KIND OF LOVE』 Mr.Children

押しも押されぬ人気となったミスチルですが、初期の傑作と個人的に評価しているのがこのアルバム。 「CROSS ROAD」でブレイク、「Innocent World」で人気が確立、一時活動を休止しながらも、活動再開後の人気も衰えず、Vo.の桜井氏が小脳梗塞で入院するというアクシデントもありながら、復帰後さらに音楽的な深みを増しつつ、さらに安定して活動を続けている点は、誰しも評価できるでしょう。 1992年リリースのこのアルバムは、同世代のバンドに見受けられるThe Beatlesなどの洋楽からの影響を隠すことなく出しつつ、かつオリジナルな要素を織り交ぜていくという点でのバランス感覚が素晴らしいと思えた作品です。どんなバンドや アーティストも「ブレイク前夜」の作品がよかったりすることが多いと思うのですが、そんな位置づけの1枚かなと思うのは私だけでしょうか。

『LOVE IS THE MESSAGE』 MISIA

現在の和製R&B女性シンガーブームの先駆け的存在として、今ではすっかり認知されている彼女ですが、 そんなMISIAの2000年にリリースした2枚目のアルバムは、彼女の作品のなかでも一番のお気に入りです。 「It’s just love」「忘れない日々」、この2曲があるだけで個人的にはOKなのです が、何気にMISIAのキャリアの中でも佳曲といえるナンバーが収録されています。このアルバムを聴いて強く思ったのですが、彼女は今のJ-POPシーンにおける「NO.1歌謡曲シンガー」の1人ではないでしょうか。最近の作品ではR&Bといわれるカテゴリーとは違うアーティストとのコラボレーションを果たしていますが、どのカテゴリーにおいても、ちゃんとMISIAとして歌をうたっていると感じるのです。もちろん彼女のバックボーンにはR&Bが強くあるのでしょうが、それに留まらない実力があってこその結果だと思うのです。 ドリカムの吉田美和さんにも通じるかと思うのですが、ソウルフルに歌えること、というのはテクニック云々を通り越して、シンガーにとって非常に大事なことだなと。MISIAの歌声を聴くたびにそんなことを再確認させられます。

『the autumn stone』 the autumn stone

ラジオ局での仕事の中で知った、私に「青春スーツ(漫画「ハチミツとクローバー」より)」を再装着させてくれる素晴らしいバンドです。北海道小樽出身で、1999年にシングル「君がいなかったら」でデビューしています。その彼らの最初のアルバムがこの作品。プロデュースはなんと! 布袋寅泰氏が手がけています。というのは、彼らは布袋氏が作ったレーベルからデビューしたバンドだから。 当たり前といえばそうなのですが、イメージとはかなり離れたサウンドだったので、なお印象が強いのです。よくよく聴くと、ギターサウンドが結構前面に出ていて、この辺りはならではだったかも。 ラジオ局のイベントでライヴも当時行なったのですが、そのライヴも良かった! ステージの1曲目に演奏した「36」というナンバーが私のお気に入りなのですが、残念ながらこのアルバムには収録されていない! セカンドシングル「neil」のカップリングで収録されているのみ。でも、アルバムにも「時々想う」という良い曲があります。というか、全曲グッジョブ! これも残念な話ですが、現在は活動休止中だそうです。でもメンバー各々音楽活動は続けてるようなので、陰ながら応援していこうと思います。